きらくやになってから激闘奮闘1800日

きらくやに生まれ変わって5年。その3です。

第3回、夕食別なら時間に縛られない。

  本当は夕食は一切出さず、外で召し上がって頂く方法にしたかった。 しかし、ホテルと旅館では「外」の概念が違うのである。 ホテルの外は自分の部屋を出た瞬間であり。 旅館では自分の部屋を出ても玄関を出なければ「内」なのである。 だから客は旅館の館内を浴衣姿で歩くが、ホテルは浴衣は勿論、スリッパでも外へは出ない。 そして一度チェックインをした客は食事を館内でしたがるのである。

  その一方、きらくやに向かってくる客は途中で気が変わって道草を食い、 食事を済ませてからチェックインします。と言う人も多い。

  旅館の楽しみは料理、と言う人が殆どだろう。 しかし、夕食を外す事によってお客様は「夕方着いて食事をしなきゃ」と言う呪縛から逃れられる。 郡山の実家で夕食を済ませて来る客。親族に葬儀が出来て通夜の後に来る客。 結婚式後の友人同士の宿泊二次会。思い思いのお客様が自己のスタイルで宿泊する。

  一番悩んだのは布団をどうするかであった。 布団をあらかじめ敷いておくと不健康な感じがするし、早く到着した客は、 布団を敷かないでゆっくりしたいと言う。 いっその事、布団敷きをお客様に任せる事にした。 「自分の好きな時間に勝手に敷いて下さい。」これが結構好評だ。 ただ前もって言われた時は敷いておく。これが定着した。到着後は客室に一切お伺いしない。 また、若い方などは客室に入られるのを極度に嫌う。 部屋を散らかしている様子や化粧を落した顔を見られたくないのだ。